懐かしのANA時刻表を見ながらANAの路線網の拡大を見ていきます。今回は国際線時刻表を見てみます。
その1はこちら。
ANAの国際線就航
時刻表を見る前に、ちょっとだけ、ANAの国際線のお話。
ANAの国際線進出は1986年であり、初めての国際線は今はなき、成田-グアムでした。2021年は国際線就航35周年となる年ですね。
ANAが国際線に進出した当初は、発着枠がJALにほとんどとられており、海外での知名度も低いということもあって、かなり苦戦を強いられました。実際に国際線が黒字化を成し遂げるのは2005年3月期。実に19年の歳月が流れました。
苦難の経験から、ANAは国際進出にあたり、採算性を重視しています。そのこともあり、ANAが国際線の就航先を選ぶときにい重視するポイントはビジネス需要があるかが重要になっています。
そしてそのビジネス需要を確実につかむために、現在の国際線の就航先はほとんどが毎日運航です。ANAが国際線就航当初、発着枠がなかなかもらえずに毎日運航でなかったころ、なかなか満席にならないこともあったそうです。ビジネスマンが乗るためには日程に融通の利かせられる、毎日運航が必要とそのことから判断されたようです。
その後、ANAの国際線事業は順調に拡大を続け、事業を支える柱にまで成長しました。しかし、この新型コロナウィルスの影響で、航空事業は苦境に立たされているが、いずれ復活することを大いに期待しています♪
2002年のANA国際線時刻表
当時ANAはJALと同じように国際線だけの時刻表を発行していました。その中で、2002年のものだけ手元にあったので、その中身を見てみます。
2002年は国際線就航から16年目です。まだまだ成長途上の時ですね。
表紙
まずは表紙です。
上から見て行くと、、右上には当時のコーポレートスローガンのGood Times Flyが書かれていますね。手元の時刻表だと2004年6月までは記載があり、その次に持っている2006年4月では消えています。おそらく、このコーポレートスローガンは2005年ごろまで使われていたのでしょう。
真ん中の写真は当時のビジネスクラス(CLUB ANAと呼ばれていた)の座席の写真ですね。当時は最先端の座席でも、今見ると時代遅れですね。今ではより個室感のある座席が主流なので、この座席の飛行機にあたると はずれ という気がしてしまいます。
お問い合わせ先の電話番号はフリーダイヤル。今ではフリーダイヤルを利用できるのは、プレミアムサービスメンバーなど一部の人に限られているが、この当時は誰でも利用できました。
一番下には、スターアライアンスのロゴがありますね。ANAは国際線路線網の拡大にはパートナーとなる航空会社が必要だとかなり早くかな判断しており、1999年にはスターアライアンスに加盟しています。
サービス案内
表紙だけで、長くなってしまったが、中身を見てみます。
ANAにとっては欠かせないパートナー航空会社。スターアライアンスの説明はANAにとって大きな意味を持つものだったと思われます。
ファーストクラスの紹介のページでは、フルフラットシートの説明がされています。今では、水平になるフルフラットシートはビジネスクラスでも当たり前になりつつあるが、この当時はファーストクラスにしかない特別な座席でした。
シートテレビのサイズは6.5インチとタブレットよりも小さいサイズ。(因みに、この座席テレビのサイズがこの時のビジネスクラスの最新座席より小さい・・・) この頃はAVODがまだ全クラスでなかったため、ファーストクラスでAVODなのは大きな特徴として記載されています。
ビジネスクラス(CLUB ANA)の紹介では、今でも提供されている軽食の紹介がありますねる。うどんやホットサンドとレパートリーは今ほどではないが、提供されていたようです。パソコン電源貸し出しサービスがあることからも、座席に電源はなかったです。
ANAマイレージクラブの紹介のページではANAカードの紹介もしています。ANAカードの紹介の部分は今と変わらない特典が紹介されていますね。カードのデザインも20年近くわかっていないことがわかりますね。デザインは結構気に入っているので、このままであってほしいですね。
ANAマイレージクラブは1997年4月に開始されたサービスです。ANAプレミアムサービスメンバーはその1年後1998年4月に始まりました。最初はプラチナサービスだけだったものが、ブロンズサービス(1999年4月~)、ダイヤモンドサービス(2002年4月~)と拡充されていきました。
さて、始まって4年目、ダイヤモンドサービスの初年のサービス内容ですが、特典は今と違うところも多いですね。
- ステータス獲得要件に搭乗回数がある
- ボーナスマイルが現在の達成2年目以降と同じ
- アップグレード券を貰える(今はアップグレードポイント)
- 国際線のプレミアムエコノミーを利用できる(2019年に廃止)
- ANAグローバルアシスタンスの提供(2014年に廃止)
国際線時刻表
裏表紙には就航先の地図が載っている。この当時の就航先は、北米5都市、欧州3都市、東南アジア3都市、中国7都市、東アジア3都市、リゾート2都市である。
さて、時刻表部分を見ると、今も昔も変わらず、一番最初に書いてあるのはロサンゼルス行き。
ブラジル路線も時刻表に掲載がありますね。ヴァリグ・ブラジル航空が日本へロサンゼルス経由で乗り入れていました。成田と名古屋で合わせて毎日運航という需要があったのでしょうね。(その後、ヴァリグ・ブラジル航空は倒産しますが。。。)
この頃はまだまだボーイング747の全盛期。長距離路線の多くの路線がボーイング747で運航されている。しかし、一部にボーイング777が見られ、少しづつ置き換えが始まってきていることも読み取れる。
台北便は政治的な配慮から、ANAとは別のエアーニッポンの運航ということになっています。現在ではこの関係は解消されていますが、当時は世界中の航空会社が台湾に就航するにあたり、別会社を設立していました。
機材案内
機材のところを見ると、この当時はまだ主力はボーイング747-400。
この当時はプレミアムエコノミーが誕生したばかり。最新機材では、シートテレビが6.5インチながら、エコノミークラスでもAVODなのが嬉しい。
ANAでは基幹路線をロンドン線としているみたいです。最新機材はロンドンから投入されることが多いです。ここはビジネスマンが多く、客単価が高くて、収益性が良いことが影響していると思われます。実際に距離の長いアメリカ東海岸路線よりも欧州路線のほうが航空券は高く、最新のビジネスクラス座席のTHE ROOMもロンドン線からの投入でした。
意外だったのはボーイング777-200にもファーストクラスを設けていたこと。この当時はまだファーストクラスに高い付加価値があり、利用者も多かったので、少し小さめの機材でもファーストクラスをつけていたのですね。今では、ANAはボーイング777-300にしかファーストクラスをつけておらず、世界的にもボーイング777-200にファーストクラスをつけている航空会社は少ないですね。
運賃表
エコノミークラスの割引運賃の名称はG・E・T(ゲット)。この後、エコ割と名前を変え、現在ではValue, Basic, Flexなどの名前に変化している。
マイレージが基本マイレージの70%貯まるというのは魅力である。現在では基本マイレージの30%や50%が主流になっており、乗ってマイレージを貯めることが難しくなってきていることがよくわかりますね。。。
空港案内
2002年の段階では、ANAは成田空港の第2ターミナルを利用していました。このため、空港案内も第2ターミナルが紹介されている。この頃は羽田空港はまだ国際線がないため、空港の案内には出てこないですね。
まとめ
2回にわたって、ANAの時刻表の変遷を追ってみましたが、約20年分の時刻表でも多くのことが読み取れますね。表紙しか残っていない年がほとんどでしたが、それでも、時代の流れを表紙からでも感じられました。
次に、JALの時刻表がどう変わったのか見てみます。